透過型電子顕微鏡のコントラスト

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透過型電子顕微鏡のコントラストを示します。位相コントラスト、強度コントラスト(吸収コントラスト)、散乱コントラスト、回折コントラストの大きく4つのコントラストからなります。

位相コントラスト

 元素の種類、及び、原子のイオン化の状態に応じて、透過した電子線の位相の変化量が異なることをコントラストとして作り出します。

強度コントラスト(吸収コントラスト)

 試料に吸収され、透過しない電子があることを利用してコントラストを作り出します。


散乱コントラスト

 元素の種類、及び、原子のイオン化の状態に応じて、電子線の散乱のされ方が異なることを利用して、コントラストをつくる方法です。密度の違いによる散乱量の違いなどもコントラストとして利用することができます。  生物試料を観察する場合には、そのほとんどが軽元素からなるため、散乱コントラストを作ることが困難になります。とくに、染色を行わない氷包埋試料などでは、散乱コントラストの利用は困難です。一般には、重原子(ウランや鉛など)を使って、染色(電子染色と呼ばれる)し、コントラストを生み出します。密度の違いが散乱量の違いと繋がるので、無染色でもコントラストを生み出すことは可能です。

回折コントラスト

 電子が波動性を持つが故に「回折」と呼ばれる現象を生みだします。その際、試料内に対称性(繰り返し構造)がある場合には、電子波が「干渉」を引きおこし、散乱角度に大きく依存した散乱を生じます。ラウエ散乱やデバイ散乱と呼ばれる散乱現象と関連しています。