コントラスト
提供: Eospedia
コントラストとは、対象がもつ密度と背景のもつ密度の差である。電子顕微鏡で撮影した画像はコントラストが変調を受けてしまうので、正しく解釈するためにCTF補正という工程が必要である。
電子顕微鏡での設定環境によるCTFへの影響
mrcImageCTFObservationを使ったCTFのシミュレーション画像を用いて、電子顕微鏡の設定毎の変調の違いやその画像の見え方について例を示します。
以下を真の画像とします。
値を変えていない場合は下記の設定を使用しています。
加速電圧(-kV): 200 球面収差係数(-Cs): 2.1 デフォーカス(-df): 27000 照射半角(-Ain): 0.3 モード(-ctfMode): 32(照射半角の設定を有効にするため)
加速電圧による違い
加速電圧の値を0 ~ 1000[kV]でとって、CTF, FFT, CTF補正を掛けたときのそれぞれの画像です。
球面収差係数による違い
球面収差係数の値を0.0 ~ 15.0でとって、CTF, FFT, CTF補正を掛けたときのそれぞれの画像です。
デフォーカスによる違い
デフォーカスの値を0 ~ 54000でとって、CTF, FFT, CTF補正を掛けたときのそれぞれの画像です。
照射半角による違い
照射半角の値を0.00 ~ 1.00でとって、CTF, FFT, CTF補正を掛けたときのそれぞれの画像です。照射半角の違いは、電子銃の点電荷性の違いに起因します。大きくなるほど、像の呆けが大きくなり、フーリエ空間の情報は低空監修波数側に限定されます。
通常のLaB6の電子銃では、0.4 mrad-0.15 mrad、Schotkey型では、0.02-0.04mrad、冷電界放出型では、0.02-0.03mradになります。集束レンズ(照射レンズ)の使い方によって、照射半角は大きく変わってきます。
照射半角が大きいと、呆けが大きくなり、フーリエ空間でトーンリングが観察されず、位相が反転した成分が無くなり、CTFの補正も必要なくなります。アニメーションの中で、白黒反転した部分が消えていくのを確認してみて下さい。