「CTF補正」の版間の差分
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2012年9月9日 (日) 10:22時点における版
透過型電子顕微鏡画像は、通常、その撮影条件に応じて、画像が変調されて撮影されます。撮影された画像をそのまま解釈しようとすると問題が生じます。特に、コントラストが低い生物試料では、デフォーカス量を大きくとって、コントラストを増強しようとします。そのため、非常に大きな変調を受けます。 実空間で考えると、観察像は、真の像の一つ一つの点がどのように広がるかを示す、点拡がり関数(PSF: Point Spread Function)が各点毎に畳み込まれた(convolute)された画像になります。 一方で、逆空間(フーリエ空間)では、観察像のフーリエ変換は、この点拡がり関数のフーリエ変換されたものであるコントラスト伝達関数(CTF: Contrast Transfer Function)が、真の画像に積となったものとなります。 ここでは、Eosを使って、CTFの影響がどのように出るかを計算しながら、透過型電子顕微鏡の画像の意味を理解しながら、コントラストの補正を行う方法について、まとめておきます。
CTFによる変調を受けた画像を得るためには
Eosでは、真の画像がどのように変調を受けるかをシミュレートするためのツールがいくつか有ります。 画像に対して、CTFの影響をみるためのツールが、mrcImageCTFCompensationです。このプログラムを使って、画像変調をかけてみましょう。 また、CTF関数そのものをインタラクティブに観察するには、ctfDisplayというツールがあります。このツールは、CTF関数そのものを決定するためのインタラクティブなツールでも有ります。
CTFのパラメータを決定するためには
Eosでは、自動的にCTFパラメータ(デフォーカス量)を決定するプログラムctfDetemineがあります。SNが十分に高く、トーンリングと呼ばれるコントラストが0の領域が明確に現れた場合には、決定することができます。こちらは、現在は、非点に対応できていません。 cryo-EMのデータなどで、コントラストが低い場合、SN比が悪い場合、また、自動決定したデフォーカス量等を確認する意味でも、ctfDisplayというツールを使います。
データを利用してCTFパラメータを決定してみましょう。
CTFによる変調を補正するためには
Eosでは、CTFによる変調を補正するためには、mrcImageCTFCompensation、あるいは、mrcImageCMultiCTFCompensationのいずれかを使います。前者は、一枚の画像のCTF補正を行う場合、後者は同一視野の二枚以上の画像(デフォーカスシリーズ)のCTF補正を行う場合に利用します。
mrcImageCTFCompensationでは、ctfDisplayから出力されたCTFに関する情報から、CTFの補正を行います。
mrcImageMultiCTFCompensationを利用する場合には、重ね合わせる画像同士の位置合わせ(アラインメント)を行っておく必要があります。その場合の精度をあげるためには、それぞれの画像の位相補正を終えたものをもちいる方が好ましいと思います。
クラミドモナス鞭毛の切片像に関して、CTFによる変調をかけた画像を示します。全体像は、黒白がひっくり返っただけですが、詳細に観察し、タンパク質分子(外腕ダイニン)の形を観察すると、ずいぶんと形や位置が異なっていることが分かります。
画像は、Display2で観察してみましょう。