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'''Eos'''(イオス)は[[若林 健之]]と[[安永 卓生]]により、1996年に開発され、公開された電子顕微鏡画像解析ソフトウェアである。もともと50個程度のプログラムの集合であったが、学生を含めて、その後のソフトウェアの開発に伴い、現在は400近くのプログラムの集合体からなる、電子顕微鏡画像処理に関する統合環境となっている。
 
'''Eos'''(イオス)は[[若林 健之]]と[[安永 卓生]]により、1996年に開発され、公開された電子顕微鏡画像解析ソフトウェアである。もともと50個程度のプログラムの集合であったが、学生を含めて、その後のソフトウェアの開発に伴い、現在は400近くのプログラムの集合体からなる、電子顕微鏡画像処理に関する統合環境となっている。
  
 [[Eos]]の名称は、Extensible Object-oriented Systemの頭文字をとったもので、ギリシャ神話の暁の女神であるエーオースにかけて命名した。ここから多くのプログラムが開発されていくことに願いを込めている。
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 [[Eos]]の名称は、Extensible Object-oriented Systemの頭文字をとったもので、ギリシャ神話の暁の女神であるエーオースにかけて命名した。ここから多くのプログラムが開発されていくことに願いを込めている。迅速な開発と多くのコマンドの発信、統合によるユーザにとっても有効なプログラムの開発といった思いが強かった。現在では、こうしたプログラム環境のことをプラットフォームと呼ぶことが定着しているが、開発当時は普及した言葉では無かったために、「環境」と呼んでいた。
  
 
 [[Eos]]の特徴は、4つのサポート(Support)を提供していることにある。その内の二つは、[[開発者]]向けに、残りの二つは[[ユーザー]]向けに提供している。前者の[[開発者]]向けのサポートは、[[オブジェクト指向型ライブラリ]]と[[プロトタイプ・ソースコード]]であり、後者の[[ユーザー]]向けのサポートは、それぞれ実行できる[[コマンド群]]([[Small Tools]])と、それらを統合した[[統合プログラム]]である。[[統合プログラム]]には、[[Display2]]のようなコマンドの一つとして提供しているものと、[[make]]のためのMakefile(今後、将来は[[PIONE]]で、GUI付きで統合予定)である。
 
 [[Eos]]の特徴は、4つのサポート(Support)を提供していることにある。その内の二つは、[[開発者]]向けに、残りの二つは[[ユーザー]]向けに提供している。前者の[[開発者]]向けのサポートは、[[オブジェクト指向型ライブラリ]]と[[プロトタイプ・ソースコード]]であり、後者の[[ユーザー]]向けのサポートは、それぞれ実行できる[[コマンド群]]([[Small Tools]])と、それらを統合した[[統合プログラム]]である。[[統合プログラム]]には、[[Display2]]のようなコマンドの一つとして提供しているものと、[[make]]のためのMakefile(今後、将来は[[PIONE]]で、GUI付きで統合予定)である。
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=== 統合プログラム(Integration Tools) ===
 
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 Eosでは、電子線トモグラフィーなどの大きな仕事はこの統合プログラムを用いて行う。また、オブジェクト指向型ライブラリをAPIとして用いる統合コマンドも提供している。前者は、コマンド群を用いた統合化を、後者の多くは、ライブラリにより提供されるAPIによる統合化を提供している。
  
 
==== Makefileによる提供 ====
 
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 電子顕微鏡画像の補正、電子線トモグラフィー、単粒子解析(参照有単粒子解析、ランダムコニカル傾斜、コモンライン型3次元再構成など)、らせん対象性をつかった3次元再構成等の基本[[Makefile]]を提供している。これらのMakefileは、更に個々のユーザー(ここでは、エキスパートと呼ぶ)により、改良され、個々の解析に利用されている。Eosでは基本的な[[Makefile]]を主として提供する。
  
 
==== 統合コマンド ====
 
==== 統合コマンド ====
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 [[Display2]]、[[ctfDisplay]]、[[molvie]]、[[smolet]]のように、オブジェクト指向型ライブラリやコマンド群をAPIとして用い、統合したプログラムも提供する。Display2は[[ImageJ]]を目指して、[[smolet]]はetomoや3dmodを目指して、作成を続けているものである。
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== 開発者向けサポート ==
 
== 開発者向けサポート ==
 
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=== オブジェクト指向型ライブラリ ===
 
=== オブジェクト指向型ライブラリ ===

2012年10月3日 (水) 23:11時点における版

Eos(イオス)は若林 健之安永 卓生により、1996年に開発され、公開された電子顕微鏡画像解析ソフトウェアである。もともと50個程度のプログラムの集合であったが、学生を含めて、その後のソフトウェアの開発に伴い、現在は400近くのプログラムの集合体からなる、電子顕微鏡画像処理に関する統合環境となっている。

 Eosの名称は、Extensible Object-oriented Systemの頭文字をとったもので、ギリシャ神話の暁の女神であるエーオースにかけて命名した。ここから多くのプログラムが開発されていくことに願いを込めている。迅速な開発と多くのコマンドの発信、統合によるユーザにとっても有効なプログラムの開発といった思いが強かった。現在では、こうしたプログラム環境のことをプラットフォームと呼ぶことが定着しているが、開発当時は普及した言葉では無かったために、「環境」と呼んでいた。

 Eosの特徴は、4つのサポート(Support)を提供していることにある。その内の二つは、開発者向けに、残りの二つはユーザー向けに提供している。前者の開発者向けのサポートは、オブジェクト指向型ライブラリプロトタイプ・ソースコードであり、後者のユーザー向けのサポートは、それぞれ実行できるコマンド群(Small Tools)と、それらを統合した統合プログラムである。統合プログラムには、Display2のようなコマンドの一つとして提供しているものと、makeのためのMakefile(今後、将来はPIONEで、GUI付きで統合予定)である。

ユーザー向けサポート

 Eosは、電子顕微鏡画像処理を行うユーザー向けに、2012年時点で400に近いプログラムを提供し、また、それらを統合して、電子線トモグラフィーや単粒子解析などを行うための統合プログラムを提供している。

コマンド群(Small Tools)

 Eosの発想は、UNIXのそれに近い。UNIXでは、ls/cat/grep/sedなどの各々特定の仕事に特化したコマンドが提供され、シェルスクリプトの形でそれらをまとめ、より大きな仕事を行う。Eosでも、基本的には、小さいプログラムを組み合わせて、大きな仕事(単粒子解析や電子線トモグラフィー)などを統合プログラムにより行う。前処理・後処理に利用する一般的な画像処理、3次元再構成のためのコマンド、電子顕微鏡画像の補正に関わるもの、など、コマンド一覧機能別コマンド一覧の詳細は各々別ページを参考にしてもらいたい。

統合プログラム(Integration Tools)

 Eosでは、電子線トモグラフィーなどの大きな仕事はこの統合プログラムを用いて行う。また、オブジェクト指向型ライブラリをAPIとして用いる統合コマンドも提供している。前者は、コマンド群を用いた統合化を、後者の多くは、ライブラリにより提供されるAPIによる統合化を提供している。

Makefileによる提供

 電子顕微鏡画像の補正、電子線トモグラフィー、単粒子解析(参照有単粒子解析、ランダムコニカル傾斜、コモンライン型3次元再構成など)、らせん対象性をつかった3次元再構成等の基本Makefileを提供している。これらのMakefileは、更に個々のユーザー(ここでは、エキスパートと呼ぶ)により、改良され、個々の解析に利用されている。Eosでは基本的なMakefileを主として提供する。

統合コマンド

 Display2ctfDisplaymolviesmoletのように、オブジェクト指向型ライブラリやコマンド群をAPIとして用い、統合したプログラムも提供する。Display2はImageJを目指して、smoletはetomoや3dmodを目指して、作成を続けているものである。


開発者向けサポート

 

オブジェクト指向型ライブラリ

プロトタイプ・ソースコード