卒業論文、修士論文を書く上での問題点をリストアップしました。 参考にしてみて下さい。

0.全体の章立て

1. 省略形

1.1. 省略形が最初に現れたとき

省略形、たとえば、CTF、などが最初に現れる時には、必ずコントラスト伝達関数(contrast transfer function: CTF)と、省略前の対応を書くこと。

1.2. 一覧表

省略形に関しては、一覧表を用意すること。

2. 英語

2.1. 日本語の中の英語

日本語の中の英語は極力避けること。一般に使われている語であればカタカナとすること。単位等で一般に使われているものはよい。

3. 論文の引用

3.1. 論文の引用

文章中に現れる過去の研究に基づいた事実に関しては、論文の引用をおこなうこと。全般的な話はレビュー論文の引用でもよいが、個々の事実に関しては、できる限り、原著論文に立ち戻り、引用すること。教科書の引用は、明らかな事実のみが許されるが、その場合でも発見者に敬意を表し、原著論文を引用すること。

3.2. 参考文献のリスト作成

論文の引用は、参考文献として、章を一つたてること。書いているうちに順序の変更等が頻繁にあり、自分が調べる時にも不便なので、順序は、アルファベット順とするのが特に指定がなければ便利である。この際、すべての文献に対して、フォーマットをそろえること。どれかの論文に則ったのでもよいが、わからなければ以下の様に設定せよ。

欧文の場合

番号. 著者名1,著者名2, and 著者名 (発行年) タイトル.(最後にピリオド) 雑誌名(italic), 巻(bold), 号(なくてもよい), 最初の頁-最後の頁

邦文の場合

番号. 著者名1、著者名2、著者名 (発行年) タイトル 雑誌名(あるいは本) 巻、号、 最初の頁-最後の頁

3.3. 引用方法

論文中での引用は、(著者名, 発行年)にて記載すること。著者名が2名の場合には列挙、三名以上の場合には、et al.でよい。

4. 実験条件

実験条件、解析条件等は、できる限り詳細に記述すること。個々の図に条件等を記述する場合でも、方法の章のなかで、あらかじめ、述べておかなければならない。省略できるとすれば、結果や考察での本文や図の説明(figure legends)の中である。

5. 文体

5.1. 口語体の禁止

口語体を使用することはやめる。 0) 名詞句の省略 特に気になるのは、主語や目的格が修飾する名詞句の省略である。 1)文末表現 どの意味か明確でなく,口語である。

「ようだ。」 →「であることが報告されている」
  →「である」
  →「であると考えられる」

2) タンパク タンパク質か,蛋白質か,たんぱく質 のいずれか。タンパクのみは口語体。 3) いくつか → 複数の

5.2. ネガティブな表現を避けること。

自分の実験事実からいえることをまず述べること。 よくあるのは、 −−−−−−−−−−−−−− XXXの実験は○○が問題ではあるが、■■■であるので、△△であるといえるかもしれないと考えられる。 −−−−−−−−−−−−−− という表現。これは、たとえば、以下のように言い換えること。大切なことは時間的な流れと論理の流れを明確にすることである。 −−−−−−−−−−−−−− 今回、我々の×××の実験では※※であることが示された。これまでXXXに関して、■■■であることが知られている。 我々の実験は■■■と矛盾がない|矛盾する|を支持する|支持しない。(これが結論となります。) (一端、実験事実からわかることを述べておいた上で、) ここで、我々の実験のなかで、○○が問題点としてあることには留意しておく必要がある。 この場合、★★であると結論づけることは困難である。 −−−−−−−−−−−−−−

5.3. 冗長な言葉を避けること

5.3.1. 思われる 考察で、「思われる」という表現はおかしい。「思われる」は他人にそのように考えることを当たり前であると強制している。 また、本来、考察なのであるから、自分自身の考えをかくことは当たり前であり、考えたことであるからこそ考察なのである。 5.3.2. 非常に,とても 「非常に、とても」は、何も述べていない。適当な数値等と比較することが重要である。

5.4. 現在形と過去形

結果は過去形で記述すること。 図をみてその場で読者に理解してもらえることは、現在形でもよい。この場合は、主語が読者であることが前提であるが、日本語では、読者が主語のばあい、主語を省略する。 歴史的事実、誰もが理解している事実に関しては現在形でよい。 過去の誰かが行った実験などで、一般化している訳ではない事実は過去形で記述する。

5.5. 文体

文はできる限り単文で、短文であること。短文を接続詞を使ってつないでいくことを勧める。 接続詞をつなぐことで、文と文の関係を、読者に対しても、自分自身に対しても明らかにすること。 理由と結果の順序を変えないこと。 必要条件、十分条件を混同しないこと。

5.6. 数字

横書きのとき,個数や量を数字は,アラビア数字,1,2,3,4 … を使うこと。 漢数字を使うのは,縦書きか,横書きでも単語の中に含まれているときのみ(たとえば:三半規管)

6. 図

6.1. 図の説明

  1. 図の説明を必ずつけること。図を見る上で必要となる情報はすべて掲載するべきである。著者が当たり前と考えることも読者にとっては当たり前ではない。特に図内部に記号等が有る場合には、必ず説明が必要である。
  2. 図の説明の配置はセンターではない。左揃えで表記すること。
  3. 図の説明は、段落の幅を本文より狭くし、本文と異なることを明示すること。

6.2. 図の番号

内部で複数の図を作っている場合には、必ず番号付けを(a)から行うこと。1行目、2行目などという言い方はしない。 (a)をすでに使用している場合には、(A)でもよいが、大文字、小文字の順がよい。

6.3. 図の引用

本文中での図の引用は、図の番号に従うこと。下図、上図という言い方は、論文としてはよくない。なぜならば、掲載順も含めて配置を考えなければならないからである。記述の増加等によって、大きな空白や変更が必要となる。最終的には、間違ったまま提出する場合が多い。本文中での図の引用は,できるだけ文として,「図xが示すように」などとする。(図x)とする場合には,そのことを示した文末(句点の前)に挿入する。

6.4. 図の作り方

口頭のプレゼンテーションと違い、論文では本人の説明が時間的に行われることはない。したがって、プレゼンテーションで点滅等で説明したところをそのまま表示させると、図が重なってしまい、理解できない。特に電子顕微鏡写真の場合には注意が必要である。本人が見えないと思っていると、図をぞんざいに扱いがちである。

6.5. 図の説明と本文の関係

図の説明は、図を理解する上で必要な情報がすべて記述されているものである。 本文では、その図をみて、わかったこと、理解してほしいことを書くのである。重複することを恐れる必要はない。 「○○の結果を図xで示した。」で終わってしまい,その図をどう読み取るかを書いていない人が多い。

7. 論文中での数値の取り扱い

7.1. 有効数字

論文中で使用する数値は必ず有効数字を意識すること。誤差検定ができればもちろんそれに超したことはないが、できない場合でも、意識した桁数とすること。必要以上の桁数を明記しないこと。

8. 結果と討論

8.1. 結果

結果は、実験事実を述べるとともに、その実験事実から、一義的にわかることを書くべきである。多様な可能性のある結果は望ましくない。 これまで同様の研究が行われている場合には、単純な比較、たとえば、無矛盾である、矛盾する、一致する、一致しない、などの場合には、結果に記述するべきである。

8.2. 討論

討論は、今回の実験事実をこれまでの実験事実に照らし合わせて新しいモデルや解釈を行うための場である。たいていの場合、その解釈やモデルは一義的ではなく、仮定がはいる場合が多い。ページ数に制限がない場合には、考えうる限り可能性を列挙することが望ましい。 実験手法等に疑義があり、アーティファクトの可能性がある場合にも、討論で述べるべきである。実験回数が少ない、取り扱った画像の枚数が少ない、統計処理がされていないなども同様である。

8.3. 節の取り扱い

サブタイトルをつけるのであれば、節として特別に取り扱うこと。修士論文や博士論文では、章立て、節立てをきちんと行うこと。投稿論文の場合には、投稿先の論文フォーマットに従わなければならい。

9. Q&A

卒業論文、修士論文の場合には、最終版には、公聴会での質問に対する返答、Q&Aをつけよう。これにより、自分自身の理解も深まり、また、質問者への礼儀でもある。また、後進のものにとっても、研究を進めていく上で、重要な情報となる。これは、往々にして、自分自身の理解が不十分なところが質問され、また、そのことは研究を始めるものにとっても疑問を抱く点でもあるからである。