「単粒子解析」の版間の差分

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実行直後<br>
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Rmax=0.08で拡大表示する<br>
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谷に線を合わせる(Defoucus=27000)<br>
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InfoのSaveボタンでCTF情報ファイルを保存します。(保存した[[Media:Input-121p-shiftr-ctf.ctfinfo|出力データ]])</div>
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<div>コマンドC: [[mrcImageCTFCompensation]] -i Input-121p-shiftr-ctf.2dfft  -o Input-121p-shiftr.2d -info2 Input-121p-shiftr-ctf.ctfinfo</div>
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<div>コマンドCの[[Media:Input-121p-shiftr.2d|出力画像]]</div>
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<td>[[画像:Input-121p-shiftr.png]]</td>
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<td><p align="left">最小<br>
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最大<br>
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平均値<br>
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標準偏差<br>
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標準誤差<br></p>
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1206.48 (16, 58, 0)<br>
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2014年4月2日 (水) 09:04時点における版

単粒子解析法とは、Single Particle Analysis(SPA)の日本語訳である。単粒子とは、画像中の粒子(対象)が元来、2次元的にもしくは3次元的に同じ形をしていることを仮定して、その2次元、3次元構造解析を行う画像処理法のひとつである。

2次元単粒子解析

 2次元単粒子解析とは、2次元で得られている電子顕微鏡投影像を分類し、それぞれを平均し、構造の違いを論じるための解析方法を指します。

3次元単粒子解析

 元々の粒子の構造が3次元的に単一であることを仮定して、2次元の粒子画像群から3次元構造を再構成する画像処理法を指します。その手順は、下記のようになります。

ROI(粒子画像の抽出)

電子顕微鏡画像の前処理

 まず、電子顕微鏡画像から粒子画像を抽出しやすくするために画像に合った補正を行います。


1. CTF補正
 画像の明暗を調節したい場合にはCTF補正を掛けて、コントラスト比を調整します。
以下の流れでCTF補正を行います。


電子顕微鏡画像(2D)

↓ A: mrcImageFFT

電子顕微鏡画像(2DFFT)

↓ B: ctfDisplay

電子顕微鏡画像(2DFFT) + CTF情報(ASCII)

↓ C: mrcImageCTFCompensation

CTF補正済み画像(2D)


使用する入力画像
Input-121p-shiftr-ctf.png

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-1066.31 (69, 47, 0)

489.111 (58, 48, 0)
0.247522
88.9735

0.347553


コマンドA: mrcImageFFT -i Input-121p-shiftr-ctf.2d -o Input-121p-shiftr-ctf.2dfft
コマンドAの出力画像

Input-121p-shiftr-ctf-fft.png
mrcFFTExpression(m=1)にて表示

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

0.129048 (255, 128, 0)

772.6 (142, 252, 0)
72.4855
51.7996

0.202342


コマンドB: ctfDisplay -i Input-121p-shiftr-ctf.2dfft -o Input-121p-shiftr-ctf.ctfinfo
ctfDisplay0.png

実行直後

> ctfDisplay1.png

lmax=400でトーンリングが見える

> ctfDisplay2.png

Rmax=0.08で拡大表示する

> ctfDisplay3.png

谷に線を合わせる(Defoucus=27000)

今回はノイズ比を1と考え、Isignalの値をInoiseの値に合わせます。
InfoのSaveボタンでCTF情報ファイルを保存します。(保存した出力データ)


コマンドC: mrcImageCTFCompensation -i Input-121p-shiftr-ctf.2dfft -o Input-121p-shiftr.2d -info2 Input-121p-shiftr-ctf.ctfinfo
コマンドCの出力画像
Input-121p-shiftr.png

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-461.072 (75, 56, 0)

1206.48 (16, 58, 0)
-0.247522
88.9734

0.347553


電子顕微鏡画像から粒子画像の抽出

 主にDisplay2を使用して、粒子部分をROIファイルとして切り出します。


参照画像の作成

参照画像の準備(mrcImageModelCreate, pdb2mrc etc.)


3次元再構成

 3次元再構成を行うためには多くの参照投影像が必要になりますので、Makefileを使用することをお薦めします。

投影角の決定までを行うMakefileの例はこちらにありますので、目的に合わせて使用することができます。

以降の項目では3次元再構成に至るまでの各処理をEosコマンドMakefileのコマンドと対応させながら、実行例を記述していきます。


参照画像から2次元の参照投影像のセットを生成

 mrc3Dto2Dを使用して、2次元の参照投影像を作成します。


例. 121p-shift.ref3d を元に参照投影像121p-shift.ref2dを作成する場合(y軸, 軸周りに0度 ~ 360度の範囲で30度刻み)


使用する参照画像

121p-shift.png
xy平面

121p-shift1.png
yz平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

0 (0, 0, 0)

22320.6 (34, 39, 32)
42.1608
615.001

1.20117


既存のMakefileを再利用する場合は以下の設定を確認します。
今回はファイル名のみ変更しています。
# Ref File Name
INITIAL=121p-shift

#
# Search Area for 3D
#
ROTMODE=YOYS

#
# Search Area for 3D
#
ROTMODE=YOYS
# Rot1
ROT1MIN=0
ROT1MAX=359
ROT1D=30

# Rot2
ROT2MIN=0
ROT2MAX=359
ROT2D=30

# Rot3
ROT3MIN=0
ROT3MAX=0
ROT3D=30
make .ref3d.ref2dと入力すれば参照投影像が作成されます。


作成された参照投影像

121p-shift2d.png
z=0

121p-shift2d1.png
z=1

121p-shift2d2.png
z=2

121p-shift2d3.png
z=168

サイズ

最小
最大
平均値
標準偏差

標準誤差

( 64, 64, 169)

-76.7146 (32, 41, 138)
2557.54 (35, 32, 131)
42.1574
207.727

0.249672


最も類似度(相関値)の高い参照投影像の角度を粒子画像の投影角として決定

 mrcImageAutoRotationCorrelationを使用して粒子画像の投影角を決定します。


三次元像を再構成する

 mrc2Dto3Dを使用して三次元像を再構成します。


三次元像の分解能・質の確認

 出来上がった三次元像を参照像と比較して、分解能や質を確認します。

主に使用するコマンド
mrcImageFourierShellCorrelation

mrcImageFOMCalc


繰り返し(精密化)