電子線トモグラフィー

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電子線トモグラフィーとは、電子顕微鏡を用いた3次元再構成法の一つで、同一視野を様々な方向からの投影された電子顕微鏡像をコンピュータの中で三次元像に再構成し、コンピュータを使って断層像(トモグラム)を作成する手法です。

 下記にその手順を順に述べていきます。

連続傾斜像の撮影

 この手法で試料を撮影すると特定の軸に対して一定間隔で傾斜した画像になります。また、傾斜角度が大きくなるにつれて視野は広くなるので、映っている物体は傾斜軸の中心に集まってきます。


Input-Tomogram1.png

1軸傾斜 (中央が0°の画像)


2軸傾斜の画像を得るときはときは試料を90°回転させて、1軸傾斜と同様の方法で撮影します。
Input-Tomogram2.png

2軸傾斜(中央が0°の画像)(上の画像より90°回転した向きになっている)


画像の補正

 傾斜画像では、視野全体がアンダーフォーカスとなるように、通常の電子顕微鏡撮影よりも大きなデフォカース値をとる場合が多いです。その場合、LaB6などの電子銃では第一トーンリングより外側の情報がほとんど無いために、CTF補正等は必要ありませんが、電界放出銃を利用した場合には、場合によっては間違った情報を与える場合があるので注意が必要です。

ラフ・アラインメント

 傾斜画像の中心付近の画像の相関から、それぞれの傾斜画像の大まかな位置を合わせます。

入力ファイル(Y軸周りに±60°の範囲で2°刻みで傾斜)

1WDC-Tom-2dSet.png
10°刻みで表示


前処理(窓関数)

 窓関数を掛けて画像端のノイズを除去します。


今回は横80%、縦90%の窓関数を掛けます。
コマンド(1枚目の場合): mrcImageWindowing -i Set1000.roi -o Set1000.mask -W 0.2 0.2 0.1 0.1


こちらのMakefileを使用すると全てのroiファイルについて処理を行います。
設定内容
# For Windowing
WIN_X=0.2
WIN_X_MAX=0.2
WIN_Y=0.1
WIN_Y_MAX=0.1
WIN_MODE=18
コマンド
make Windowing


出力ファイル(.mask)

1WDC-Tom-mask-2dSet.png
10°刻みで表示


位置合わせ

 傾斜角度に応じて対象が平行移動しているので、位置を合わせます。このとき傾斜による影響を受けにくくするために隣同士の角度で位置合わせを行います。

例. 2°刻みで撮影した画像の場合
 2°画像の位置を0°画像の位置に合わせる
 4°画像の位置を位置補正後の2°画像の位置に合わせる
 6°画像の位置を位置補正後の4°画像の位置に合わせる
 .
 .

 (+が終わったら-についても同様に位置を合わせる)


mrcImageCorrelationを使用した場合

 こちらのMakefileを使用して位置合わせを実行します。Makefileを使用せずにコマンドを逐次入力しても位置合わせは可能ですが、mrc2Dto3D用の入力ファイルリストを作成する必要があります。


実行例1
入力ファイル

1WDC-Tom-mask-2dSet.png
10°刻みで表示


コマンド
make CorFit1


1WDC-Tom-Fit-2d.png
10°刻みで表示


ファイン・アラインメント

 傾斜画像の軸の位置、角度を出来る限り一致させます。


実行例1(傾斜軸の調整)

 軸の傾きはmrcImageTiltAxisSearchで算出することができます。


入力ファイル(傾斜軸を10°傾けた1軸傾斜のデータ)

1WDC-Tom-Tilt-2dSet.png
10°刻みで表示


# RotMode
ROTMODE=ZOYS
# Rot1
ROT1MIN=10
ROT1MAX=10
ROT1D=10
# Rot2
ROT2MIN=-60
ROT2MAX=60
ROT2D=2
# Rot3
ROT3MIN=0
ROT3MAX=0
ROT3D=30
### For mrcImageMove
SHIFT2MAX=10
SHIFT3MAX=0
### For mrcImageTiltAxisSearch
TILTMIN=0
TILTMAX=20
TILTN=10
TILTITER=1
TILTSCALE=5


コマンド
make TiltFit


出力した軸の傾き(.tiltinfoファイルに格納される)
9.895


3次元再構成したときの違い
補正前
Outdata-Tomogram4.png Outdata1-Tomogram4.png Outdata2-Tomogram4.png
補正後
Outdata-Tomogram5.png Outdata1-Tomogram5.png Outdata2-Tomogram5.png
xy平面 yz平面 zx平面


実行例2(傾斜軸の繰り返し調整)

出力された軸の傾きを中心として、繰り返しmrcImageTiltAxisSearchを使用します。


入力ファイル(傾斜軸を1°傾けた1軸傾斜のデータ)

1WDC-Tom-Tilt1-2dSet.png
10°刻みで表示


# For mrcImageTiltAxisSearch
IN_TILT_EXT=roi
# RotMode
ROTMODE=ZEYR
# Rot1
ROT1MIN=1
ROT1MAX=1
ROT1D=1
# Rot2
ROT2MIN=-60
ROT2MAX=60
ROT2D=10
# Rot3
ROT3MIN=0
ROT3MAX=0
ROT3D=10
### For mrcImageTiltAxisSearch
TILTMIN=-10
TILTMAX=10
TILTN=10
TILTITER=100
TILTSCALE=5


コマンド
make TiltFit


軸の傾きの遷移
0.084
0.161
0.230
0.294
0.345

-中略-

0.701
0.700
0.685
0.706
0.701
傾斜軸の傾きが1付近に近づきます。


3次元再構成

 2次元画像のセットから3次元画像を再構成します。


1WDC-shift1-3d.png
xy平面

1WDC-shift1-3d2.png
yz平面

1WDC-shift1-3d3.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

0 (0, 0, 0)

4 (31, 26, 26)
0.0116844
0.147033

0.000287174


mrc2Dto3Dで実行

実行例1(1軸傾斜での再構成)

 連続傾斜像の撮影で軸にズレがない場合は角度刻みをそのまま入力ファイルリストに設定します。


入力ファイル

1WDC-Tom-Fit-2d.png
10°刻みで表示


コマンド: mrc2Dto3D -i Input.3dlst -o Input.3d -m 1


こちらのMakefileを使用すれば、以下のコマンドでも実行できます。
設定内容
# For Reconstruction
IN_3D_EXT=fit
# RotMode
ROTMODE=YOYS
# Rot1
ROT1MIN=-60
ROT1MAX=60
ROT1D=2
# Rot2
ROT2MIN=0
ROT2MAX=0
# Rot3
ROT3MIN=0
ROT3MAX=0
コマンド
make 3DList
make Input.3d


出力ファイル(Input.3d)

Outdata-mrc2Dto3D.png
xy平面

Outdata1-mrc2Dto3D.png
yz平面

Outdata2-mrc2Dto3D.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-0.00437076 (39, 34, 36)

0.00799233 (37, 34, 36)
3.45089e-06
0.000342836

6.69601e-07


実行例2(2軸傾斜での再構成)

2軸で傾斜した画像にて3次元再構成を行います。
入力ファイル(X, Y軸周りに±60°の範囲でそれぞれ10°刻みで傾斜)

1WDC-Tom1-2dSet.png
1行目がX軸傾斜、2行目がY軸傾斜


こちらのMakefileを使って3次元再構成を行います。
コマンド
make all


途中で使用する範囲を決めるためにDisplay2が起動しますが、今回は全ての範囲を選択してROI情報を保存します。
今回出力したInformationファイル
DataA_006.mrcsmth-0000.roi Rect        0.000000       0.000000       63.000000       0.000000       63.000000       63.000000        0.000000       63.000000


出力ファイル

Outdata-Tomogram2.png
xy平面

Outdata1-Tomogram2.png
yz平面

Outdata2-Tomogram2.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-9.32199 (29, 37, 34)

21.995 (40, 35, 32)
0.0280746
1.38771

0.00271036


実行例3(Doubleを使用した2軸傾斜での再構成)

mrc2Dto3Dのオプション -Doubleを使用して3次元再構成を行います。


変更箇所
.roilst.mrc3d:
#	mrc2Dto3D -I $*.roilst -o $*.mrc3d -single 0 -InterpolationMode 2 -m 1 
	mrc2Dto3D -I $*.roilst -o $*.mrc3d -Double -InterpolationMode 2 -m 1 


出力ファイル

Outdata-Tomogram6.png
xy平面

Outdata1-Tomogram6.png
yz平面

Outdata2-Tomogram6.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-10360.9 (41, 24, 0)

8132.05 (40, 35, 31)
86.0574
673.594

1.31561


ラドン変換を使った3次元再構成で実行

 mrc2Dto3Dを使用するほかにラドン変換から3次元像を作る方法があります。ラドン変換は以下の流れで行います。


位置合わせ済みの2Dリスト
mrcImageSinogramCreate
シノグラムリスト
mrcRadon2Dto3D
3Dラドンファイル
mrcImageInverseRadonTransform

3Dファイル(完了)


実行例1


コマンド
make Radon3D
出力ファイル
xy平面 yz平面 zx平面
Outdata-Tomogram3.png Outdata1-Tomogram3.png Outdata2-Tomogram3.png

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

1.84923e+06 (0, 59, 28)

1.17991e+07 (34, 31, 30)
3.63631e+06
1.64358e+06

3536.42


実行例2

 こちらのMakefileから逆ラドン変換のオプションを変更して実行します。


変更内容
### RadonTransform
RBP_MODE=4
RBP_OPTION=-Rmin 0.05 -Rmax 0.1
コマンド
make Radon3D
出力ファイル
xy平面 yz平面 zx平面
Outdata-Tomogram7.png Outdata1-Tomogram7.png Outdata2-Tomogram7.png

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-344789 (25, 25, 0)

631546 (37, 34, 28)
4381.1
76358.4

164.297


電子線トモグラフィー画像のもつ問題点

ミッシングエリア

 全方位からの投影像を得られないために、ミッシングエリア(1軸の場合はウェッジ、2軸の場合はピラミッド)とよばれる情報がない領域があります。そのため、方向依存でのボケを生じます。


使用MakeFileを使用します。
元の3次元像(Target.ini3dにリネーム)

Input-ellipsoidal.png
xy平面

Input1-ellipsoidal.png
yz平面

Input2-ellipsoidal.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

0 (0, 0, 0)

2 (29, 29, 14)
0.108302
0.364429

0.000711774


1軸傾斜で投影して3次元再構成した場合(Y軸: -60° ~ 60°: 10°刻み)
変更箇所
TILTAXISNUMBER=1	# Single: 1 Double: 2 


コマンド
make Target.ini2d
make TestData2DSet
make all


Output-ellipsoidal.png
xy平面

Output1-ellipsoidal.png
yz平面

Output2-ellipsoidal.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-0.00330818 (52, 36, 32)

0.00425516 (13, 37, 32)
2.08481e-05
0.000467848

9.13766e-07


2軸傾斜で投影して3次元再構成した場合(X, Y軸: 各-60° ~ 60°: 10°刻み)
変更箇所
TILTAXISNUMBER=2	# Single: 1 Double: 2 
コマンド
make Target.ini2d1
make TestData2DSetDouble
make all


Output3-ellipsoidal.png
xy平面

Output4-ellipsoidal.png
yz平面

Output5-ellipsoidal.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-0.00248567 (12, 38, 32)

0.00344027 (13, 37, 32)
2.07529e-05
0.000401237

7.83666e-07


画像の位置、フォーカスの問題

 試料を傾けながら撮影するため回転軸からの距離に応じてレンズとの距離が変化していきます。これによって生じる問題をいかに補正するかも一つのポイントとなります。


平行移動の補正

 傾斜する角度が大きくなるほど、視野が広くなるため試料は傾斜軸の方へ近づいていきます。これを補正するためにmrcImageCorrelationなどを使ってどれだけ平行移動が必要かを計算します。また、試料を傾斜する毎に形も変わっていきますので比較はできるだけ近い画像同士で行います。


軸の決定

 撮影した画像は必ずしも設定した軸を中心に傾斜しているとは限りません。これは電子顕微鏡自体の性能や試料の設置方法などによって多少のズレが生じてしまうからです。傾斜軸のズレはmrcImageTiltAxisSearchなどを使って計算します。


トモグラフに使われる画像処理

 再構成した3次元画像の解析を行う前処理として以下のような処理を施します。


平滑化

 再構成した3次元像のノイズを除去するため平滑化を行います。


実行例1

Input-Tomogram3D.png
xy平面

Input1-Tomogram3D.png
yz平面

Input2-Tomogram3D.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-0.00268221 (76, 92, 66)

0.00642324 (89, 42, 71)
2.0386e-06
0.000254286

1.63933e-07


コマンド: mrcImageSmoothing -i Input-Tomogram3D.mrc -o Input-TomogramSmth.mrc -m 1


Input-TomogramSmth.png
xy平面

Input1-TomogramSmth.png
yz平面

Input2-TomogramSmth.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-0.00136636 (75, 42, 133)

0.00292404 (94, 65, 68)
-9.48921e-07
0.00013513

8.71152e-08


セグメンテーション

 トモグラムは多様な構造を含むため、3次元画像から興味あるセグメントを切り出すなどの作業が必要です。そのための支援ソフトウェアが必要です。場合によっては2次元画像から切り出すこともあります。

3次元画像の切り出し

 再構成された3次元画像から粒子と考えられる部分などを切り出します。切り出したデータは3次元画像の解析や平均化するときに使用することができます。


実行例1
切り出したい部分の座標、幅が分かっている場合はmrcImageCenterGetを使います。


Input-TomogramSmth.png
xy平面

Input1-TomogramSmth.png
yz平面

Input2-TomogramSmth.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-0.00136636 (75, 42, 133)

0.00292404 (94, 65, 68)
-9.48921e-07
0.00013513

8.71152e-08


コマンド: mrcImageCenterGet -i Input-TomogramSmth.mrc -o Input-TomogramSub.mrc -Cx 67 -Cy 67 -Cz 67 -Nx 27 -Ny 27 -Nz 27


Input-TomogramSub.png
xy平面

Input1-TomogramSub.png
yz平面

Input2-TomogramSub.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-0.0012017 (5, 9, 13)

0.00263957 (13, 6, 15)
2.22923e-05
0.000388094

2.76625e-06


2次元画像の切り出し

 視野全体ではなく、一部だけ再構成するために傾斜画像から部分的に2次元画像を切り出す場合もあります。視野全体の再構成よりもコストが削減されるので、部分的なデータだけあれば十分な場合はこの手法を用います。試料を傾けながら撮影しているので、画像から切り出す位置や角度を画像によって変える必要があります。切り出すときにはmrcImageCenterGetmrcImageROImrcImageROIsなどを使用します。切り出し範囲を全て手動で決めるのはかなりの時間を要しますので、基準(0°)の画像での切り出し範囲を手動で決めると残りの切り出し位置を傾斜角度に応じて自動で計算して切り出しを行う方法をとります。

操作動画: (.mov) (.mp4)

以下の流れで3次元再構成まで行います。
傾斜画像(2D画像複数)(前処理済)

↓	切り出し範囲の設定(Display2: 0°の画像のみ)

0°の切り出し情報ファイル(ROI情報)

↓	各傾斜画像の切り出し範囲を計算する(現在はMakefile内で処理)

各傾斜画像の切り出し情報

↓	画像の切り出し(mrcImageROIs)

切り出された複数の画像ファイル(切り出し数 × 傾斜数分)

↓	位置合わせ(mrcImageCorrelarion + Makefileの処理)

位置合わせ済みの切り出し情報(傾斜数分)

↓	再度画像の切り出し(mrcImageROIs) (※ 切り出し画像をシフトするのではなく、切り出し位置を再設定して切り出します)

位置合わせ済みの画像(ROI)ファイル(切り出し数 × 傾斜数分)

↓	角度情報ファイルの作成(Makefile内の処理)

角度情報ファイル(切り出し数分)

↓	3次元再構成(mrc2Dto3D)

3次元画像(切り出し数分)
実行例1(1軸傾斜のサブトモグラム)
入力ファイルの画像(一部)(y軸傾斜: -60° ~ 60°: 2°刻み)

Input-Tomogram2DSet1.png
-60°(p1_001.mrc)

Input1-Tomogram2DSet1.png
0°(p1_031.mrc)

Input2-Tomogram2DSet1.png
60°(p1_061.mrc)


こちらのMakefileを使用します。
コマンド
make all
コマンドを入力後にDisplay2(2Dビューワー)が開きますので、切り出したい部分(複数可)を選択しInformationファイル(.roiinfo)を作成します。

Tomogram1.png

Tomogram2.png

切り出し部分決めてEdit->OKで決定します。

複数切り出したいときはROI->MultiROIを選択します。

Tomogram3.png

今回はInformationだけ作成すれば、切り出しは自動で行われます。

ROI InformationウィンドウにてInfoFileName右側のsaveボタンを押すとファイルが作成されます。

(またはExtractModeをInformationにしてExtractボタンを押します。)


今回出力したInformationファイル
p1_031-0000.roi	Rect	20	30	60	30	60	70	20	70
p1_031-0001.roi	Rect	15	75	55	75	55	115	15	115
p1_031-0002.roi	Rect	25	110	65	110	65	150	25	150
p1_031-0003.roi	Rect	45	0	85	0	85	40	45	40
p1_031-0004.roi	Rect	60	50	100	50	100	90	60	90
p1_031-0005.roi	Rect	55	80	95	80	95	120	55	120
p1_031-0006.roi	Rect	55	120	95	120	95	160	55	160
p1_031-0007.roi	Rect	85	15	125	15	125	55	85	55
p1_031-0008.roi	Rect	85	51	125	51	125	91	85	91
p1_031-0009.roi	Rect	85	91	125	91	125	131	85	131
p1_031-0010.roi	Rect	93	130	133	130	133	170	93	170
p1_031-0011.roi	Rect	115	25	155	25	155	65	115	65
p1_031-0012.roi	Rect	120	60	160	60	160	100	120	100
p1_031-0013.roi	Rect	123	100	163	100	163	140	123	140
p1_031-0014.roi	Rect	115	140	155	140	155	180	115	180
p1_031-0015.roi	Rect	152	152	192	152	192	192	152	192


1枚の画像についてDisplay2からInformationファイル(.roiinfo)を作成すると、残りの画像については傾きから切り出す範囲を計算し、自動で切り出しが行われます。


自動で切り出された画像(縦: 選択範囲毎, 横: ファイル(角度)毎)(.pad)
Tomogram-Segmentation.png
-60°

60°


切り出し処理を終えた後はそれぞれの画像に対して3次元再構成が行われます。


再構成されたそれぞれの3次元画像(.mrc3d)
xy平面 Outdata-Tomogram.png
yz平面 Outdata1-Tomogram.png
zx平面 Outdata2-Tomogram.png


実行例2(2軸傾斜のサブトモグラム)
 2軸で傾斜した画像から切り出し及び再構成を行ってみます。


入力ファイルの画像(一部)(x軸, y軸傾斜: -60° ~ 60°: 10°刻み)
x軸傾斜

Input-Tomogram2DSet2.png
-60°

Input1-Tomogram2DSet2.png

Input2-Tomogram2DSet2.png
60°

y軸傾斜

Input3-Tomogram2DSet2.png
-60°

Input4-Tomogram2DSet2.png

Input5-Tomogram2DSet2.png
60°


こちらのMakefileを使用します。


コマンド
make all


今回はこの領域でROIファイルの切り出しを行います。
Tomogram2-Segmanetation.png
今回出力したInformationファイル
DataA_006-0000.roi Rect        0.722314      137.147614       33.000000      106.000000       49.053597      122.636041       16.775911      153.783654
DataA_006-0001.roi Rect       15.000000       79.000000       42.000000       79.000000       42.000000      107.000000       15.000000      107.000000
DataA_006-0002.roi Rect       13.000000       39.000000       58.000000       39.000000       58.000000       64.000000       13.000000       64.000000
DataA_006-0003.roi Rect       41.000000      129.000000       84.000000      129.000000       84.000000      154.000000       41.000000      154.000000
DataA_006-0004.roi Rect       51.000000       85.000000       82.000000       85.000000       82.000000      119.000000       51.000000      119.000000
DataA_006-0005.roi Rect       47.269722       69.494676       78.455043       40.316766       95.000000       58.000000       63.814679       87.177909
DataA_006-0006.roi Rect       66.000000        4.000000       92.000000        4.000000       92.000000       44.000000       66.000000       44.000000
DataA_006-0007.roi Rect       77.597890      150.922358       95.484138      132.052220      120.886248      156.129861      103.000000      175.000000
DataA_006-0008.roi Rect       93.000000       92.000000      115.000000       92.000000      115.000000      132.000000       93.000000      132.000000
DataA_006-0009.roi Rect      100.000000       51.000000      121.000000       51.000000      121.000000       93.000000      100.000000       93.000000
DataA_006-0010.roi Rect       98.589377       19.087800      119.760822       10.100593      135.000000       46.000000      113.828555       54.987208
DataA_006-0011.roi Rect      122.000000      141.000000      146.000000      141.000000      146.000000      184.000000      122.000000      184.000000
DataA_006-0012.roi Rect      136.883039       95.213292      160.000000      104.000000      144.116961      145.786708      121.000000      137.000000
DataA_006-0013.roi Rect      127.000000       73.000000      146.061183       60.635990      169.000000       96.000000      149.938817      108.364010
DataA_006-0014.roi Rect      140.000000       22.000000      177.361289       43.286947      166.470292       62.402025      129.109004       41.115078
DataA_006-0015.roi Rect      163.000000      152.000000      183.000000      152.000000      183.000000      190.000000      163.000000      190.000000


自動で切り出された画像(縦: 選択範囲毎, 横: ファイル(角度)毎)(.pad)

Tomogram2-Segmanetation1.png
DataA(x軸傾斜)

Tomogram2-Segmanetation2.png
DataB(y軸傾斜)

切り出しサイズがバラバラで分かりにくくなっていますが、いずれの傾斜軸でもROIファイルが自動で切り出されています。


再構成されたそれぞれの3次元画像(.mrc3d)
xy平面 Outdata-Tomogram1.png
yz平面 Outdata1-Tomogram1.png
zx平面 Outdata2-Tomogram1.png


トモグラム画像の解釈

サブトモグラム画像の平均化

 セグメンテーションによって分割された3次元データ同士が別方向を向いている同じ粒子であるとき、それを平均化することでミッシングエリアを補間し、より精密な3次元像にすることができます。


分割したデータ1
Input-SubTomogram.png Input1-SubTomogram.png Input2-SubTomogram.png
分割したデータ2(90°向きが違う)
Input-SubTomogram1.png Input1-SubTomogram2.png Input2-SubTomogram3.png
平均したデータ
Output-SubTomogram1.png Output1-SubTomogram2.png Output2-SubTomogram3.png
xy平面 yz平面 zx平面


実行例1

xy平面 Input-Mean-SubTomogram.png
yz平面 Input1-Mean-SubTomogram.png
zx平面 Input2-Mean-SubTomogram.png


3次元像を平均化する前にmrcImageAutoRotationCorrelation3Dを使って、向きを合わせます。


参照ファイル(入力ファイルの真ん中のデータを使用)

Input-TomogramSub.png
xy平面

Input1-TomogramSub.png
yz平面

Input2-TomogramSub.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-0.0012017 (5, 9, 13)

0.00263957 (13, 6, 15)
2.22923e-05
0.000388094

2.76625e-06


コマンド: mrcImageAutoRotationCorrelation3D -i c1-1.mrc -r c2-2.mrc -fit f1-1.mrc -EA YOYS -Rot1 0 0 30 -Rot2 0 330 30 -Rot3 0 330 30 -Xrange 0 0 -Yrange 0 0 -Zrange 0 0


補正後のデータ(-fitの出力ファイル)
xy平面 Input-Fit-SubTomogram.png
yz平面 Input1-Fit-SubTomogram.png
zx平面 Input2-Fit-SubTomogram.png


補正ファイルに対し、mrcImageAverageにて平均化を行います。
出力ファイル

Outdata-TomogramSub.png
xy平面

Outdata1-TomogramSub.png
yz平面

Outdata2-TomogramSub.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-0.000536652 (6, 13, 12)

0.00177258 (13, 17, 13)
3.22171e-05
0.000228739

1.6304e-06

平均化することにより3次元像の質(特にyz平面)が良くなりました。


実行例2

xy平面 Outdata-Tomogram.png
yz平面 Outdata1-Tomogram.png
zx平面 Outdata2-Tomogram.png


参照ファイル(入力ファイルの先頭のデータを使用)

Input-TomogramSub1.png
xy平面

Input1-TomogramSub1.png
yz平面

Input2-TomogramSub1.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-5.47817 (34, 19, 20)

16.0715 (31, 22, 19)
0.142234
1.22547

0.0048441


同様にまず向きを合わせます。
コマンド: mrcImageAutoRotationCorrelation3D -i p1-0001.mrc3d -r Target.mrc3dref -fit p1-0001.3dfit -EA XEYR -Rot1 0 355 5 -Rot2 0 355 5 -Rot3 0 0 30 -M 18


補正後のデータ(-fitの出力ファイル)
xy平面 Input-Fit-SubTomogram1.png
yz平面 Input1-Fit-SubTomogram1.png
zx平面 Input2-Fit-SubTomogram1.png


参照ファイルに対して向きが合っているものと合っていないものがあります。
これはそれぞれのサブトモグラムの3次元像にてミッシングエリアが異なるので、どちらかにデータがない角度では相関値が大幅に下がってしまうためです。
Fig-SubTomogram.png


補正ファイルに対し、mrcImageAverageにて平均化を行います。
出力ファイル

Outdata-TomogramSub1.png
xy平面

Outdata1-TomogramSub1.png
yz平面

Outdata2-TomogramSub1.png
zx平面

最小

最大
平均値
標準偏差

標準誤差

-2.32263 (22, 29, 20)

5.20816 (19, 24, 22)
0.0844992
0.49404

0.00195286